ふじみ歯科医院

矯正は歯の寿命をのばす

歯列矯正の価値の第一に美しさを求められるのでしょうが、本質は歯の寿命を伸ばすためであり、口腔の安定に役立つのです。歯列および咬合の改善により、舌、頬粘膜、唾液などによる清掃性およびブラッシングの効果も高まります。各歯根の回りの骨量も均一化されることにより、抵抗力も増します。咬合の改善は、神経、筋、顎関0による顎運動に対して各歯牙が協力しあって良いバランスを保ちます。結果として美しさも得られ、精神面にも良い影響を与えることになります。

歯の移動は何歳でも可能です。ただし成長を考慮すべき症例では、年齢的に適応があります。過蓋咬合では、咬合挙上のために、上行枝（エラの上の部分）の発育促進を行うのですが、9歳（骨年齢）くらいが限度です。反対咬合は、乳歯の時期から管理に入るのが良いでしょう。稀に咬合調整や幼児でも使用可能な器具で改善できる場合もあります。大抵は、上下の前歯が生え揃うころ、大体状況が確認できることもあり、準備なされば遅すぎることはありません。

治癒後は大きな喜びがくると信じます。

歯列期には、乳歯列期、混合歯列期（乳歯と永久歯の混在）、永久歯列期があります。方法は乳歯列期では、床タイプ（入れ歯ようのもの）を使用します。混合および永久歯列期は、床タイプも使用しますが、ワイヤーを主として使用します。歯にワイヤーを取り付けるには、仲介役としてプラケットが必要です。白いものもありますが、一般的には金属です。それぞれに一長一短ありますが、これを歯に貼り付けてそれにワイヤーを留めます。ワイヤーの戻りの力で歯を動かすと思われがちですが、それ以上に噛む力によってワイヤーが活性化され矯正力となるのです。歯が動くことは歯を取り囲む骨の改造を意味します。強い力で急ぐと骨は破壊されます。だから弱い力でゆっくりやるべきで、時間がかかるのです。

矯正中は、歯は揺れます。しかし、歯槽膿漏の歯の揺れとは異なり、非炎症性ですから痛みを伴うものではありません。従って痛みが問題になることはそれほどないはずです。

私自身、拝むか手をかざすかで治すには未だ修業が足りません。器具を取り付けるため、一時期目立つかもしれませんが、治癒後はそのいやな思い以上の大きな喜びがくると信じます。お子さんの場合は矯正中である旨、先生とか周りの人に理解していただくことも大切です。

　矯正によって、虫歯や歯肉炎の心配も増えますが、歯磨きさえよければ必ず防止できるものです。この時期を乗り切れた人なら、装置の除去後は歯磨きの効果も確実で、生涯美しい口腔が約束されるでしょう。